春節の香港で何をしようかと香港政府観光局のサイトを眺めていて粤劇(jyut6 kek6|Cantonese opera)というのがあるのを知りました。
マカオへ行った時、澳門博物館(ou3 mun4 bok3 mat6 gun2)で展示を見ていたけれど、その時は京劇(ging1 kek6)と勘違いしていました。
粤劇とは
っていうほど知っているわけじゃないけれど。
京劇が北京語(bak1 ging1 jyu5)の演劇なら粤劇は粤語(jyut6 jyu5|Cantonese)の演劇。粤というのは広州(gwong2 zau1)あたりを指していて香港やマカオを含む広東語(gwong2 dung1 jyu5)圏という理解であっていると思います。
今回観た演目がたまたまなのか、粤劇がそういうものなのか、京劇で披露される変面はありませんでした。
英訳のCantonese operaの通り、まさにオペラ。演目によっては台詞回しの長いものもあるけれど、基本は歌が台詞です。
煌びやかな衣装を身にまとい、キレの良い立ち回りを演じます。言葉はわからなくても十分に楽しめるショーですよ。
沙田大会堂で粤劇を観る
なぜ新界(san1 gaai3|New Territories)の沙田(saa1 tin4|Sha Tin)で粤劇が多く上演されるのかわかりませんが、粤劇の上演は香港島の新光戲院(san1 gwong1 hei3 jyun2|Sunbeam Theatre)か沙田で行われることが多いようです。
今回新春粤劇は沙田大会堂(saa1 tin4 daai6 wui2 tong4|Sha Tin Town Hall)で上演されました。農暦新年(nung4 lik6 san1 nin4)3日目の2月18日、昼夜2回公演で観たのは夜の部。
チケットの取り方は別記事にて。
午後7時30分から始まって夜中の11時30分まで4時間にわたって上演されます。演目は次の通りでした。
- 绝情谷底侠女情(zyut6 cing4 guk1 dai2 hap6 neoi5 cing4)
- 白蛇傳之斷橋(baak6 se4 cyun4 zi1 tyun5 kiu4)
- 白龍關(下卷)(baak6 lung4 gwaan1 haa6 gyun2)
- 春草闖堂(ceon1 cou2 cong2 tong4)
- 柳毅奇緣之花好月圓(lau5 ngai6 kei4 jyun4 zi1 faa1 hou2 jyut6 jyun4)
- 武松之戲叔(mou5 cung4 zi1 hei3 suk1)
中国の古典というか古事に疎いので、どんな話か皆目見当もつきません。唯一「白蛇伝」だけは子供の頃にアニメを見た記憶があるものの、内容はさっぱり。。。
パンフレットも広東語オンリーで中国語文法も知らないので、ちょっと込み入った文になると何が書いてあるのかわかりませんね。
各演目の合間に司会者のちょっとしたトークが挟まれますが、明確なトイレ休憩はありません。ちょうど前半の三つ目が終わった時に一旦演者が舞台に揃って写真撮影タイムがあります。
ここが唯一のトイレ休憩かな。
一応舞台両脇に大きなモニターがあって、広東語と英語でセリフと状況説明の字幕は出ます。が、映画字幕と違って完全に舞台から目を逸らせてしまうので、途中で読むのをあきらめました。
舞を楽しむ
そんなわけで、話の筋はあまりわからないけれど、歌の節や音楽、台詞の調子とともに舞を楽しみました。
京劇ほど派手ではないけれど殺陣もあるし高速でぐるぐる回転する舞(なんていうの?)もある。歌舞伎みたいに見得を切るような動きもあって楽しいです。
特に今回気に入ったのが「白龍關」のヒロイン(?)金定(gam1 ding6)の衣装と動き。頭に着けた長い触角のようなものが見得を切るたびに生き物のように感情豊かにふわりと動く。これがすごくいい。
これは彼女特有の衣装というわけではなく、演出によっては相手方の白龍太子(baak6 lung4 taai3 zi2)が着けていることもあるし、他の演目でもこれを使う役はあるようです。
もう一つ気に入ったのが女優さんの手の動き。それこそ白蛇伝のアニメで見たような、ぐっと背中を反らせて手のひらや指先をビシッと止める(伝わるかな。。。)動きがいい。これは他の演目でも同じ。
「白蛇傳之斷橋」は小学生(?)の3人が演じていたんですが、この子たちも手先の動きがすごく良かった。
香港文化文物館
そんなわけで翌朝、フライト前の時間を使って沙田にある香港文化文物館(hoeng1 gong2 man4 faa3 man4 mat6 gun2|Hong Kong Heritage Museum)に行ってきました。ここには常設展示の一部に粤劇のコーナーがあるのです。
朝10時、開館と同時に訪れました。
Pixarのコーナー以外は無料ということで、受付で荷物を預かってもらって早速粤劇コーナーへ!1時間ほどしかないからね。
キラキラした衣装や化粧台を見て楽しみ、粤劇役者のVRコスプレを堪能。
当然雉の尾のアンテナを付けた女優さんのコスプレ。
化粧が真っ白なのでだれがやっても同じになりそうですが。Kinectでも入っているのか、体の動きにあわせて自由なポーズを取ることができます。
こんな感じで二日に渡って粤劇を楽しんできました。
文物館の土産物屋で「白龍關」のDVDを探すも見つけられず。でも良く考えたらリージョンコードの関係で買っても見られなかったかもね。